象印 ZOJIRUSHI

INTERVIEW
インタビュー
VOL.03

共創プロジェクトから生まれた「世界のおにぎり」

2025年の日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)で象印マホービンが提案する「世界のおにぎり」「日本のおにぎり」。「世界のおにぎり」の販売に向けてご一緒している大阪芸術大学さんとニコニコのり株式会社さんに「世界のおにぎり」プロジェクトについて話を伺いました!

大阪芸術大学 辻󠄀邦浩 客員教授(以下、辻先生):

「世界のおにぎり」は、大阪芸術大学の共創デザインプラットフォーム「わたしぼくデザイン」の1プロジェクトとして立ち上がりました。背景には、専攻の垣根を越えて学生同士の知見を合わせ、大阪・関西万博やその先の未来を見据えながら色々なものをつくっていきたい、との想いがあります。一言で共創と言っても3つのフェーズがあるのが特徴的です。1つ目は学生内のアイデア交換フェーズ、2つ目はプロトタイプ開発での産学連携フェーズ、3つ目はプロトタイプをお客さまに試してもらいフィードバックをいただくフェーズ。すべての段階で共創されているのが本プロジェクトのポイントです。ニコニコのりさまに関しては、大阪で海苔といえばニコニコのりさん以外はないだろうと私たちからアプローチし、産学連携協定を結んでいただきました。

大阪芸術大学 デザイン学科 清水柾行 教授

ちなみに大阪芸術大学が考える共創デザインの全体について少し補足しますね。授業で行うデザインワークだと、一人でアイデアを深めていくことが一般的。それはそれで大切なのですが、自己完結してしまう側面もあります。共創プロジェクトでは、一人が発案したアイデアを一旦チームメンバーで共有します。それをそれぞれが持ち帰り、ブラッシュアップしたものを再び持ち寄り、ひとつのアイデアとして磨き上げていきます。このフローを3、4回以上繰り返すので、最終的に決まったアイデアは誰か一人に帰属するのではなく、みんなのアイデアとなる。そこに共創の魅力が詰まっていると考えています。

デザイン学科 デザインプロデュースコース 4年 石田茉那さん

イラストやテキストの巧みさで、紙の上では上手に表現されていて面白そうと感じたアイデアでも、実際のおにぎりになると…というものもあって、その辺りが面白いと思いました。誰かのアイデアを「こうしたらもっといい」と考えるのも面白いですし、みんなのアイデアが集約されていく過程そのものが魅力だと感じています。

デザイン学科 デジタルメディアコース 4年 今井凛さん

僕はみんなのアイデアを拡張させたいと思うことがあって、新たな視点を提案したいと考えたことが記憶に残っています。例えば、発酵食品というキーワードが出たときに異国の発酵食品を見つけてきて、どんな化学反応が出るかなと考えてみる、といった感じですね。自分一人では到達できないゴールに行けるのは共創の面白さだと感じます。僕は料理に詳しくないので、レシピのヒントを探す際にも味や中身がどうかではなく、各国料理名の音の響きが面白いという視点で探すこともありました。名前が面白いと完成品も「なんだこれ」というネーミングになって新たな層にアプローチできるかな、と考えます。

ニコニコのり株式会社 商品開発部 管理栄養士 戸田佳織さん

私たちだとつい「何が売れるんだろう」と考えてしまうのですが、大阪芸術大学の皆さんの視点が本当に自由で面白くて、それに触れるだけでも刺激になります。産学連携を通して、私たちも日々勉強させてもらっています。

辻先生:

ニコニコのりさんがキッチンカーをお持ちでしたので、プロトタイプを販売しようとなったときもスムーズに実現できました。とてもありがたかったですね。週末に大型商業施設で販売し、幅広い年齢層の方々が集まる場所で、いろいろな方に召し上がっていただきました。「世界のおにぎり」という言葉は一般名称ではないと思うのですが、やはり「おにぎり」というものが私たちの日常に深く浸透しているので、さほど違和感を覚えずに「世界のおにぎりってどんなもの?」と見にきていただけたことが印象的でしたね。

石田さん:

実際に、私自身もキッチンカーの前に立って販売したのですが、お客さまが面白がってくださったことが嬉しかったです。食べてみて意外なおいしさに出会う、という驚きもプラスに働くんだなと感じました。「おにぎりにするとこんな感じなんだね!おいしい!」という楽しい驚きが作る側からお客さま様に伝わって、二日連続でお店に来てくださった方もいらして、自信につながりました!

後編につづく

大阪芸術大学「わたしぼくデザインプロジェクト」
https://www.watashiboku.com/

ニコニコのり株式会社
https://www.niconico-nori.co.jp/