象印 ZOJIRUSHI

予防医療コンサルタント
細川モモさんに聞きました

第2回

子どもの学力アップと健康増進に繋がる"ごはん食7割"生活を意識しよう!

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食生活の欧米化で、
お米を食べない日はありませんか?

朝ごはんはトーストで、ランチはパスタ、夜はうどんなど。日々の食事を振り返ると、今日も昨日もそういう献立だったという方が多いのではないでしょうか。食生活の欧米化が進み、お米を食べる機会が減っていると感じている方も多いと思います。東京都の「食生活と食育に関する世論調査」でも、朝ごはんは「パン」が67.1%と大半を占めています。
特に、忙しい朝はパンのほうが手軽ですし、あれこれ考えて、いろんな栄養素を盛り込むのは大変ですよね。食事は毎日のことなので、朝昼晩の3食を「ごはん・パスタ・ごはん」にしたり、

細川モモさん

飽きないようにメリハリは大切ですが、1日最低1食、できれば2食はお米を登場させたいところです。タイトルにもうたっている"ごはん食7割"を目指すということですね。

それはなぜだと思いますか?前号で紹介した通り、主菜が米か小麦かによって一緒に摂れる栄養素に違いがあり(とくに脂質)、子どもの脳を育んだり、近年問題視されている小児生活習慣病の予防には米中心の和食がオススメだからです。 また、意外に見落としがちですが、パンは水をたっぷり吸収させて炊くお米に比べて水分が少ないのです。子どもは大人に比べて年齢や月齢が小さいほど脱水症状になりやすく、水分不足は便秘や肌の乾燥など、トラブルにもつながります。これから暑くなるにつれ、子どもの水分補給の話題になると、「1日に麦茶をどれぐらい飲ませればいいですか?」という質問をよく受けるのですが、「飲料から半分で、食事から半分ですよ」とお答えしています。炊いたごはんにも、添える汁物にも水分が含まれているので、お米を中心にした食事にするだけで、パン食に比べてトータル水分摂取量が大幅にアップするわけです。お米を中心とした和食のメリットは、このほかにもたくさんあるんですよ。

お米中心の和食は、
脳に嬉しいいろんな栄養素が摂れる

前回の「子どもの知力、能力をアップさせる"お米で朝ごはん習慣"を身につけよう!」でもお話ししたおさらいになりますが、朝ごはんでお米を食べている子どもは、脳の発達が良好で知能指数が高い、ということがわかっています。これは脳科学の研究で実証されていますが、お米を主食にした場合、おかずの品数が増えていろんな食材を食べることになるんですね。その結果、幅広く栄養素が摂れるわけです。これは日本の大学生を対象にした研究でも実証されており、朝ごはんにパンより米を食べる日数が多いほど大豆/魚/野菜などの摂取量が多く、結果として食物繊維や鉄分などの栄養素も多く摂れています。※1
さらにお米が優れている点は、"ストレスに強い体をつくる"として注目されているGABAという、血圧を落ち着かせてメンタルを安定させる働きのある栄養素が含まれていることです(残念ながら精白米にはあまり含まれませんので、精白度を下げるか発芽玄米などにするとよいでしょう)。GABAは精神的不安定な人において血中濃度が低値であることや※2 、更年期の女性が摂ることによって、抑うつ/眠れない/イライラ/倦怠感などが改善されることが認められています※3"うちの子イライラしやすい"と感じたならば、お米中心の食生活にスイッチしてみるのも一案です。

つまり、和食の献立の比重を増やせば、脳やメンタルにメリットのある栄養成分を取り入れやすくなるのです。脳はかなりの部分が脂肪でできていて、その脂肪は食材の脂肪の質に影響を受けるといわれています。魚や卵、豆腐や味噌などは、ごはんと組み合わせやすい食材の代表ですよね。魚のDHAや味噌の原料、大豆のレシチンなどは、まさにブレインフードと呼ばれる良質な脂肪を含みます。

細川モモさん

これらは1日3食の中でなるべく多く食べるようにしたいもの。また、和食の献立にすると四季折々の旬の魚介や野菜・海藻などが取り入れやすく、しかも手頃な価格で買えるので節約にもなります。例えばカツオが店頭に並べば、初夏がきたね、などと子どもと会話のきっかけにもなりますし、季節の食材で料理すること自体が食育になります。魚介に含まれるタンパク質や鉄分などのミネラル、野菜に多い食物繊維やビタミンなど、良質な脂質のほかにも栄養が豊富で、家計にもやさしいのが和食の献立なのです。
"メリハリ献立"を実践中のわが家でもパンを主食にした朝ごはんは週2〜3回ありますが、洋食献立の場合、マーガリンやマヨネーズ、汁物なら生クリームを使ったポタージュといった具合に、なるべく多く摂るのを避けたい飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を取り入れることになってしまいます。これらは意識次第で減らすことも可能ですが、やはり子どもの成長をサポートすることや便秘などのトラブルを予防してあげようと思うと和食の比重が多めになります。

お米が主食の食生活を習慣化するには、
ホップステップジャンプ方式がいい

ここまでで、お米を主食にすれば、脳やメンタルに嬉しい栄養素がたくさん摂れる、ということは理解されたと思います。でも「和食の献立」と考えると構えてしまいますので、ごはん/汁物/おかずの3点セットで考え、余裕があれば副菜で良いと思います。野菜が不足しそう‥と思う場合には具だくさんの味噌汁にしてしまえば塩分も減らせます。
食後の食器洗いをする際、揚げ物を除く和食だとお皿もサラッと洗えますが、ミートソースパスタなどの洋食や中華は油汚れが大変で浸け置いたりしますよね。人の体内でも和食の脂質は中性脂肪を溶かしたりコレステロールを減らしてくれたりします。かといって魚は骨が面倒‥という場合は圧力鍋で味噌煮などに。それも面倒‥という場合には缶詰やパウチで良いと思います。ではより簡単に、和食の献立を気軽に続けるにはどうしたらよいのでしょう。まず、朝ごはんはお米を主食にする、ということからスタートしてみるのがいいと思います。

おにぎり

パンのように子どもが片手で持って食べられる、ということを考えるとおにぎりやおいなりさんが便利です。夜寝る前に炊飯器にタイマーをかけて、朝に炊き上がりを食べてもいいし、冷凍してあるごはんをチンするだけでもいい。鮭フレークと枝豆入りのおにぎりを一気に10個ぐらい作って、冷凍しておくのも重宝しますよ。たとえば、ふだんの朝ごはんが鮭や梅のおにぎりと麦茶の組み合わせだとしたら(ホップ)、そこに味噌汁と卵焼きを加えてみる(ステップ)。さらに余裕があれば、ヨーグルトやフルーツを添える(ジャンプ)、これで立派に和食をベースとした献立が完成するわけです。

私が実践しているのは、栄養を簡単にプラスできて、保存も効く便利な食材をストックしておくこと。たとえば、しらす干し、ツナ缶、鮭フレーク、ごま、きな粉、かつお節、桜エビ、海苔などです。ごはんにそのままのせたり、ふりかけたりするだけで、必要不可欠な栄養素をプラスすることができます。
さらに、生鮮食品を買う暇がないときも、高野豆腐や大豆のドライパック、カットわかめや切干大根などの乾物を常備しておけば、味噌汁に入れたり、煮物にすることもできます。皮をむいたり切ったりする手間のない、冷凍のカット野菜や豚汁の素、真空パックのアサリやシジミなど鉄分の多い貝類なども、味噌汁が手軽に作れます。いきなり完璧を求めるとつらいので、お米を主食にしながら、ストック素材を徐々に増やして栄養ONしていきましょう。

便利な調理家電もどんどん使って、
ラクしてお米中心のごはんを続けよう

お米中心の食事を習慣化するために、レシピ選びも手軽にしてみてはどうでしょう?おかずを決めた時にどんな汁物や副菜が合うか悩んでしまうと思いますが、最近はインスタグラムなどで「肉じゃが」「うどん」などで検索すると献立がたくさん出てきますので、ぜひヒントにしてみましょう。5色揃っていると栄養バランスも二重丸ですので、そのような写真を探してみてはいかがでしょうか。最近は献立を自動提案してくれるアプリもありますので、現代ツールを最大限駆使してみることをおすすめします。

また、どんな道具で調理をするかの意識を変えることもポイントです。昨今はママの就業率も7割を超えていて、忙しいママが急増中です。ですので、ほっておいても料理が出来上がる調理家電の導入もおすすめします。私もいくつか取り入れていますが、いまはかなり優秀なタイプが出回っていますね。たとえば、自動調理器に夜寝る前に材料をセットしておけば、朝起きたら肉じゃがや牛丼の素ができあがっている。炊飯器と自動調理器を朝同じ時間にセットしておき「できました♪」という音で目覚めるのは現代の特権だと思います。起きてつくるのはおにぎりと汁物だけ。はたまた帰宅時間にセットしておき、子どもと家に帰ったらカレーやブリ大根がちょうど出来上がるというのも働くママとしては大助かり。なんでも自分でやろうとせず、便利グッズをフル活用して無理なく和食生活を続けていきましょう。

細川モモさん

できるだけラクをしていいと思うんです。大切なのは、子どもの口に何が入るのか、どんな栄養素が体に取り入れられるのか、ということですから。朝から数種類のおかずを作ったりするのは無理、と思うのは当然で、品数を増やせない場合には、1品でも2品でもいいんですよ。その中にどれだけ多くの種類の栄養素を入れ込めるか、という発想に切り替えるのが正解です。
薬と違って、食事の効果は短時間で結果が出るものではないので、地道に続けていくしかないんですよね。体の細胞はおおむね3か月ぐらいで入れ替わると言われていますが、日々食べるものが脳や体づくりの基礎になる、と考えて、続けることを大事にしてください。運動や睡眠との相乗効果も大切ですが、コツコツと続けることが子どもの健やかな成長に繋がります。頑張りすぎず、ラクをしながら、お米を中心とした和食の献立を習慣化していってほしいと思います。

※1「Sasaki, et al. J Community Nutr 2002; 4: 83-9.」

※2「Petty F., Kramer GL. Dunnam D., Rush AJ.: Plasma GABA in mood disorders, Psychopharmacology Bulletin,26(2),157-161, 1990.」

※3「園田久泰:乳酸菌発酵由来γ-アミノ酪酸の機 能性-更年期障害及び初老期精神障害に対す る効果-,FOOD Style 21,5(5),92-96,2001. 14) 岡田忠司・杉下朋子・村上太郎・村井弘道・三 枝貴代・堀野俊郎・小野田明彦・梶本修身・高 橋励・高橋丈夫:γ-アミノ酪酸蓄積脱脂コメ 胚芽の経口投与における更年期障害および初 老期精神障害に対する効果,日本食品科学工学会,47-8,596-603,2000.」

ごはんレシピのご紹介

細川モモさんの著書「成功する子は食べ物が9割」より!

そのまま食卓に出して、肉・豆腐・野菜をバランスよく!

材料(大人2人+子ども2人分)

牛こまぎれ肉
200g
木綿豆腐納豆
1丁(300g)
キャベツ
1/6個(200g)
ねぎ
1本

A

しょうゆ
大さじ3
酒、砂糖
各大さじ2
おろししょうが
少々
1/4カップ

作り方

  • キャベツはざく切りにする。ねぎは斜め薄切りにする。牛肉は大きければ1口大に切る。
  • フライパンにAを入れ、まぜて砂糖をとかす。中心に豆腐をおき、周りに野菜、牛肉、野菜の順に重ねる(肉をはさんで蒸し煮にすることでしっとりする)。
  • 中火にかけ、煮立ったらふたをして少し火を弱め、5分煮る。

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